トップ

能について

能を観に行こう

能の歴史

能の演目・物語

能面・装束

能楽師

能楽堂・公演スケジュール

能を体験したい習いたい

イベント・薪能 

本・テレビ・動画サイト

関連サイト

団体・協会

バックナンバー

問い合わせ

能は、何に似ている? Vol.2
能楽とトランス・ミュージック TEXT:新城 健一 2004.11.26

■伝統的な音楽とミニマル・ミュージック

能舞台から観た橋掛かり
能舞台の上から橋掛かりを見たところ。和のトランス・ミュージックに誘われ、奥にある揚幕から橋掛かりを通って、現世である能舞台の上に、様々な亡霊が現れる。
能の音楽は、小鼓大鼓太鼓、そして地謡(じうたい)の声によって構成されます。
指揮者の存在しない状態で、互いの間の取り方を探りながら、響かせあって奏でられていきます。そして、物語のクライマックスに合わせ、次第に力強さを増していきます。

FMラジオで番組制作をしておられる放送作家の加藤明子さんが、次のように語っておられました。
「能の音楽って、ミニマル・ミュージックに似ている」と。

能楽の音楽でくり返される、基本となるフレーズ。そのアレンジ。速度を上げながらくり返されるフレーズに包まれるうち、心地よいトランス状態となり半ば眠るような恍惚感が得られます。
このフレーズのくり返しと速さや強さの変化には、ミニマル・ミュージックというジャンルの音楽と通ずるものがあるのではないだろうか、ということなのです。


 ミニマル・ミュージックとは?(ウィキペディアより)

ミニマル・ミュージック(Minimal Music)は、音の動きを最小限に抑え、パターン化された音型を反復させる音楽。
1960年代から盛んになった。ミニマルテクノ、単にミニマルと呼ばれることもある。 テクノは電子音を使用した音楽という意味と、たくさんのジャンルの中の一つという意味を持っている。
ミニマル・ミュージックは、この大きなジャンルとしての「テクノ」の一ジャンルである。
特徴としては、様々な電子楽器を使用するものの、あくまで単純な反復のリズムがメインであり、曲として成り立つ最低限度に近いほど、展開も少ない。
出展元:ウィキペディア ミニマル・ミュージック


■デスメタルやホーミー

演目『井筒』のクライマックス
演目『井筒』のクライマックス。愛しい男の形見である装束を身に着けた女の亡霊が現れ、井戸の底に映る自分の姿を見て、亡き男に想いを馳せる。
(撮影:森田拾史郎)
また、重要無形文化財総合認定保持者である一噌流笛方能楽師の一噌幸弘さんも、能の音楽はヘヴィメタルのような変拍子だとし、聞き取れないような声で歌詞を歌い上げるところからデスメタルに似ているとも言える、と語っておられました。

地謡の声が、ホーミー(一人で同時に二つ以上の音を発生する、モンゴルの伝統的な倍音唱法)を聴いているときのように、響いてきたという感想を聞いたこともあります。

いずれにせよ、長時間聴き続けることで、トランスしていく可能性があるものばかりです。
それゆえに、能を観ているときに、耐えられぬほどの眠気に誘われることがあるのかもしれません。
僕の友人に、「とてもリラックスできて、頭の芯が覚醒したまま浅い眠りに落ち、ゆるやかな夢を見ているように舞台を眺めていた」という人もおりました。
これもまた、音楽的作用なのかもしれません。

能舞台の上で展開される、この世とあの世の狭間の世界。その夢とも現とも言えない物語世界から響く音楽がトランス効果をもっているというのは、極めて当然のことなのかもしれません。

能は、音楽的に見ても、とても面白いですね。


▼関連情報はこちら

DEATH METALへのイザナイ』(外部リンク)

ホーミー・ワールド』(外部リンク)

能の演目・物語』(リンク集)

能楽師』(リンク集)


▼前回の記事はこちら

能は、何に似ている?Vol.1 『能楽堂とディズニーランド』(記事)

Copyright(c) 2004 NPO Sense All rights reserved.