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国立能楽堂二十周年大改装
能舞台を守る男たち TEXT:新城 健一 2004.04.24(取材日2003.09.02)

■能舞台ならではの特徴

――:他の演劇の舞台と能舞台はずいぶんと様子が違いますね。

荒井:他の舞台は、幕が上がってからが勝負なんですよ。ところが、能舞台の場合は、打ち合 わせで「ここの照明はこのくらいにしてくれ」というのが決まれば、あとは手が出せないんですね。舞台技 術の人間は、公演中ブラブラしているように見えるんだけど、その前後と公演中(調整室で)も仕事して るんですよ。

――:能楽師の中には、海外公演で多くの劇場を見ても、「国立能楽堂ほどきれいなところは まず無い」とおっしゃる方がおられるようです。「本当に、自慢できるナショナルシアターだ」とのこと。

荒井:特に、楽屋の6室ね。初めて来られた方は、舞台よりも感動されるんじゃないですか。あ の広さに。



――:舞台の下に、音を響かせるために甕があると聞いたのですが……

荒井:今は入ってませんね。野外でやっていたころは、入っていたんですよ。今は、見所(けん しょ=客席のこと)の扉を全部閉めて、あちこちで音を出して、反響テストをやるんです。国の定めた基 準があるので、それをクリアするように作ってあるんですよ。

――:建物全体で甕の代わりを実現している?

荒井:そう。耳障りでない、お客さんが快いと感じられる音が響くように調整してあります。それ から、能楽堂ならではの準備というと、足袋と炭と松ですね。

――:白足袋?

荒井:そう。舞台は白足袋着用でしょ。白は精錬潔白というか、清潔ですよね。この足袋の維 持がけっこう大変なんですよ。お安くないから。年間250足を確保するんです。

――:炭というのは?

荒井:ほうじ室の炭です。大鼓(おおつづみ。「おおかわ」とも呼ぶ)を乾燥させるためのもの。 申し合わせでも本番でも、朝一番に炭を起こして囲炉裏に準備しておくんです。それと、松ね。



――:橋掛かりに備え付ける松ですね。あれは、生松なんですか?

荒井:そう。2メートル20センチくらいのものを用意します。生松を使っているのは、国立能楽 堂と宝生能楽堂くらいかな。今は、本物と区別がつかないような作り物もあるんですよ。でも、そこはこだ わりとしてね。甲子園球場がドームになるのと、国立能楽堂の松が生でなくなるのとどっちが早いかね。 ははは。

――:どっちも、心意気の部分ですね。

荒井:そうそう。

――:舞台の奥にある松の絵が描かれている「鏡板(かがみいた)」の手入れは?また、屋根 や梁のホコリを払ったりは?

荒井:ハタキもかけないですね。開演前と終演後に、ガーゼのモップできれいに床をふき取っ ているので、ホコリひとつ立たないんです。ただ、正月には注連縄(しめなわ)を屋根のところにかけま すから、そのときに主だったところは拭き清めます。



――:白砂(しらす)の石は?

荒井:全部で3トンくらいになるんですよ。あれも、以前は年に一度、掃除をしていました。全 部洗って、干して。ここ3年くらいやっていないので、そろそろやらないと。触ると、手が白くなりますよ。

――:あそこは、立ち入っていいんですか? 舞台に近づくのは緊張します。張り詰めた清潔 感があるせいでしょうか。禁断の場のような気がして……

荒井:ははは。いいんですよ、入っても。舞台にかかっている階段、階(きざはし)というんです が、そこや舞台の上は白足袋を履いてもらう必要がありますけどね。



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