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かがり火の岸壁でエビスビールに能を楽しむ
『星の輝き 船橋能楽の夕べ』を観て TEXT:新城 健一 2004.05.22

オートバイと大鼓

開場は17時から、開演は18時が予定されていました。
驚いたことに、最寄駅からは、貸切の送迎バスが何度も往復するほどの人数が集まっていました。
最終的には、1,400人もの人が集まったそうです。
能のイベントとしては、異例の規模ではないでしょうか。

年齢的にも幅広く、ラフなファッションの大学生と思われる男女のグループから着物姿の年配のカップルまで。また 、国籍も様々でした。

生ビール(エビスビール)を飲みながら、夕暮れの岸壁に設えられた特設会場で、舞台の始まりを待つ。
それは、堅苦しい伝統芸能のイメージとは程遠い、気さくで気軽な雰囲気に包まれていました。

重要無形文化財総合認定保持者である大倉流大鼓方能楽師、大倉正之助氏がオートバイに乗りステージ前に登 場。
彼は、自身のサイト『飛天』で、オートバイへの考えを次のように語っ ています。

▼『飛天』 オートバイと大倉正之助 より 引用

バイクを「鉄の馬」と称する大倉。「能楽」は武士の文化と深く関係しており、その昔、大倉 の先祖も馬に跨がり、駆け巡っていたと言う。その武士のスピリットが大倉をバイクへ跨がらせる。

よく、「能楽」という日本の伝統芸能の方が、どうしてオートバイなのか、という質問を受ける。大倉は「この満たされ た時代では、どうしても生ぬるい甘さの中で生きてしまう。その中で少しでも自分を極限状態に追い込む手段として オートバイを使うのです。」と答える。

常に危険と隣り合わせのライディングにこだわることで、自分を限界まで追い込む。緊張の中に自分を置いてこそ、 命をかけた舞台にのぞむ事ができるのかもしれない。




▲黒い皮のライダーススタイルの服装で大鼓を打つ大倉氏。

演目は『三番叟(さんばそう)』です。これは、最も古い祝祷の儀式『翁(おきな)』の 中で五穀豊穣を祈るものです。
破天荒な登場に違和感でひきつけられた心が、大鼓の音で、能の世界へと引き込まれていきました。

続いて登場したのは、一噌流笛方能楽師、一噌幸弘氏。彼は、趣味のジープでの登場でした。
息を吸いながら吐く、という循環呼吸法により、いつ果てるとも知れない、長く続く笛の音。
野外で高らかに響くその音色は、五条の橋の上で弁慶と出会った牛若丸の姿を連想させるものでした。

夜風に吹かれながら笛を吹く彼の姿を見るうちに、ここがどこで、今がいつの時代なのか、ということすら忘れてしま いました。



▲東京湾を背景に、大倉氏と一噌氏の共演。

そして、大倉氏と一噌氏の会場を笑いで満たすような解説の後、大鼓と笛のセッション。
それは、ジャズのライブのような、即興音楽が持つ興奮と緊張感の心地よさを感じさせるものでした。


次のページでは、「星の輝き 船橋能楽の夕べ 後半」を紹介します。

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